胃炎とは
胃炎には、急性と慢性の2種類があります。急性胃炎は、暴飲暴食や刺激物・カフェインなどの摂取、ストレスなどが原因で発症します。慢性胃炎の原因でよくみられるのは、ピロリ菌の感染です。ピロリ菌に感染すると胃炎が長引き、さらに進行すると胃潰瘍や胃がんになる可能性が高まります。
また、慢性胃炎の他の原因としては、NSAIDsなどの薬の使用などが挙げられます。
胃炎と機能性ディスペプシア
について
かつて胃炎は、胃の症状がある時のみ診断されてきました。しかし、現在では、胃カメラ検査で胃の粘膜を確認してから、胃炎かどうかを判断する流れが主流となっています。その理由ですが、胃炎でなくても胃の症状が現れる、機能性ディスペプシアという疾患である可能性も考えられるからです。
機能性ディスペプシアは、胃の機能や知覚過敏などが原因で、症状が起こると考えられている疾患です。以前まで、機能性ディスペプシアは「神経性胃炎」として診断されて炎症を改善する治療が行われることがあったのですが、炎症がないため治療の効果がなかなか実感できませんでした。
しかし現在では、機能性ディスペプシアと診断できるようになったことで、機能性ディスペプシアに合った治療ができるようになりました。胃の症状でお困りの方は、一度胃カメラ検査を受けましょう。
胃炎の症状
以下の症状に心当たりのある方は、放っておかずに受診しましょう。また、胃に炎症があっても無症状でいることもあるので、注意が必要です。
- 胸焼け
- 吐き気
- 胃の痛み
- みぞおちの痛み
- 胃もたれ
- 胃が重く感じる
- むかつき
- 腹部不快感
- 膨満感
- 食欲が減った
- 下血
など
胃炎の原因
急性胃炎の場合
暴飲暴食や唐辛子・カフェインなどの刺激物の摂りすぎなど急激に胃への大きな負担がかかることで生じます。また飲酒や喫煙を続けると、胃酸の分泌が増えてしまい、胃炎を起こしやすくなります。
さらに、ストレスを感じると、自律神経の働きが乱れて胃酸の分泌が増えたり、胃の動きが悪くなったりするため、胃炎にかかりやすくなります。
慢性胃炎の場合
日本人の慢性胃炎の80％が、ピロリ菌感染によるものです。ピロリ菌は胃の粘膜に棲み着く細菌で、アンモニアなどの有害物質を作り出します。これにより胃粘膜が刺激され、炎症が引き起こされます。また、NSAIDsなどの薬の副作用として起こる慢性胃炎も多くなっています。
胃炎の種類
急性胃炎
胃の粘膜が急に炎症を起こす疾患です。食べ過ぎや飲み過ぎ、唐辛子やカフェインなどの刺激物の摂りすぎなどが原因で起こります。数日で治ることが多いです。
慢性胃炎
日本人の慢性胃炎の80％は、ピロリ菌感染によるものです。NSAIDsなどの薬の副作用として起こるケースもあります。
進行させるとがん化のリスクを高める萎縮性胃炎を引き起こす恐れがあります。
萎縮性胃炎
慢性胃炎が進行した結果、胃の粘膜が薄くなってしまう疾患です。萎縮性胃炎を発症すると、胃がんの発症リスクが高くなります。
神経性胃炎
ストレスなどによって自律神経の働きが乱れた結果、胃酸の分泌が増えたり胃の動きが悪くなったりする疾患です。
胃炎の検査
急性胃炎の場合
まずは症状や食生活などについて、詳しくお聞きします。その後、必要に応じて胃カメラ検査を行うこともあります。
慢性胃炎の場合
慢性胃炎の症状は、胃がんなどの疾患とよく似ています。事前に胃カメラ検査を行ってから、胃粘膜の状態を評価し、萎縮性胃炎かどうかを判断します。また、胃カメラ検査では、粘膜から組織を採取する病理検査を行い、確定診断をくだすことも可能です。
当院では、経験豊富な専門医が胃カメラ検査を行うことで、安全で快適な検査を提供しています。
胃炎の治療
薬物療法
胃炎の原因や症状、胃粘膜の炎症の度合い、生活習慣などに合った薬を処方します。
市販薬でも胃炎の症状を和らげることはできますが、再発を防ぐためには医師の診察が重要になります。
ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌感染がある場合は、除菌治療を受けることをお勧めしています。除菌治療とは、2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制剤を1週間服用することで、ピロリ菌を除菌する治療です。
ただし、除菌治療は1回目で成功しない可能性もあります。その場合は別の薬に変えて2回目の除菌治療を行います。2回目までにはほとんどの方が除菌に成功するのでご安心ください。
除菌治療は保険が適用されますが、条件があり、胃カメラ検査で慢性胃炎と診断された場合に限り、ピロリ菌感染検査と除菌治療（2回目まで）が保険適用されます。
ピロリ菌の除菌治療を
行うと胃がんリスクが
軽減できます
ピロリ菌が胃粘膜に感染すると、慢性胃炎の治療を受けても何度も元に戻ってしまい、萎縮性胃炎になるリスクが高くなります。
ピロリ菌の除菌治療に成功すると、胃の粘膜の炎症や潰瘍が再発しにくくなります。それによって萎縮性胃炎になるリスクも軽減できるため、胃がん予防としても有効です。
生活習慣を見直す
薬物療法も大事ですが、生活習慣の改善も大切です。食べ過ぎや飲み過ぎ、カフェインや香辛料などの刺激物の摂りすぎ、喫煙や飲酒などは、胃炎の症状を悪化・再発させる要因にもなります。当院では患者様のお話を丁寧にお聞きし、個々のライフスタイルに合わせて、無理なく実践できるような提案を行っています。胃炎の治療を希望される際は、お気軽にご相談ください。